考え事は資源ごみへ

無駄な思考もいつかは再利用できると信じて

アルコール2時間飲み放題単品2オーダー制で垣間見えた貧富の差

私はお酒が好きだ。

学生時代のアルバイトで稼いだお金のほとんどは、居酒屋の飲み放題で消えたといってもいいくらいだ。

飲み放題は素晴らしい。

なんてったって飲み「放題」なのだから。

学生の少ない稼ぎでたくさん飲むためには、飲み放題のある居酒屋がマストだ。

社会人になってからはお金にも余裕ができ、さらに学生時代に比べ飲みに行く頻度が減ったため、それほど飲み放題にこだわることは無くなった。

だが、年末年始の忘年会、新年会には飲み放題は無くてはならない。

年明け、高校時代の友人たちと久しぶりに集まって飲む機会があった。

もちろん居酒屋で話とお酒に明け暮れるために飲み放題を選んだ。

そのお店は誰もが知る全国チェーンの居酒屋だ。

2時間飲み放題の場合は1人2品の料理を頼まないといけない。

しかも1品税抜き298円以上のものが対象だ。

税込み298円の枝豆やじゃこ天は対象外なのだ。いやらしい。

まあこれはよくあるシステムだ。

その日は5人で入ったため全部で10品頼む必要がある。

早速1杯目を注文し、さて料理は何を頼もうかメニュー表を開いてみんなで考えた。

これはどうか、と私は馬刺しを指さした。

うん、いいと思う。

皆がそう頷く中、1人が呟いた。

「596円か…高いな…」

一瞬何を言っているんだと耳を疑ったが、すぐに理解できた。

高いと呟いた彼は、定職についていなかったからだ。

飲み放題の単品オーダーで料理の値段を気にしていた感覚は、自分はもう学生時代に置いてきた。

学生の頃は選ぶ料理を吟味し、飲み放題を含めた総額を如何に抑えるかを考えることがしばしばあった。

その頃の感覚から考えれば、税抜き298円以上でいいのにも関わらず、それよりも300円も高い馬刺しを頼むのは躊躇するだろう。

彼のひと言は、私を久しぶりに学生時代の感覚を取り戻させた。

だが、私は、いや彼以外はもう定職に就いている。

今の自分たちはその価値観をもう捨てたのだ。

まだ1杯も飲んでいないのに、少し悲しい気持ちを抱いた。

 

お金のことはいいよ、頼みたいものを頼もう、と私たちはフォローをいれて皆すぐに食べたい料理をそれぞれ注文用タブレットへと入力した。

その場と、それからハシゴした居酒屋では彼からは2000円だけもらって残りの金額を4人で割った。

2000円出す彼は少し申し訳なさそうにしていた。

困ったらお互いさまだから、気にすんな。

また飲みたくなったら誘ってくれ、お金がなかったら全部俺が出すから。

そう私は言った。

もちろん本音だ。

自分も学生の頃は、そうやってお金を出してくれた友人がいたからだ。

困ったときに頼れるのが友人というものだと、私は思っている。

そこに貧富の格差なんて関係ない。

むしろ富んでいるならいつも多めに出したっていい。

 

その日以来、彼とは会っていない。

去年はよく夜にドライブに誘われていたが、昨今のガソリン代高騰もあるからか、誘いがなくなった。

ガソリン代だって出すから、俺と話したくなったらまた誘ってくれ。